Duv素子のための緻密で均質なフッ化物膜及びその作製方法
专利摘要:
発明は、緻密で均質なフッ化物膜でコーティングされた光学素子及びそのようなコーテッド素子を作製する方法に向けられる。コーティング材料は高(H)屈折率フッ化物材料及び低(L)屈折率材料であり、これらの材料は共蒸着されてL-Hコーティング材料のコーティング(L材料及びH材料の共デポジションコーティング)層を形成する。希土類金属フッ化物(例えば、ネオジム、ランタン、ジスプロシウム、イットリウム及びガリウムのフッ化物、及びこれらの混合物)が高屈折率材料としての使用に好ましい金属フッ化物であり、フッ化ランタン(LaF3)及びフッ化ガドリニウム(GdF3)が特に好ましい。フッ化アルミニウム(AlF3)及びアルカリ土類金属フッ化物(カルシウム、マグネシウム、バリウム及びストロンチウムのフッ化物)が好ましい低屈折率材料であり、フッ化マグネシウム(MgF2)が好ましいアルカリ土類金属フッ化物である。 公开号:JP2011505592A 申请号:JP2010535959 申请日:2008-11-19 公开日:2011-02-24 发明作者:ジェイ キャンジェミ,マイケル;シュライバー,ホルスト;ワン,ジュエ 申请人:コーニング インコーポレイテッド; IPC主号:G02B1-11
专利说明:
[0001] 本出願は、米国特許法第119条(e)項の下に、2007年11月30日に出願された米国仮特許出願第61/004784号の優先権の恩典を主張する。] 技術分野 [0002] 本発明はレーザシステムに用いるためのコーティングされた表面及び、素子、例えばミラー、に向けられ、特に、ArFレーザのような200nmより短波長のレーザシステムとともに用いるための、高屈折率材料及び低屈折率材料のコーティングが共デポジションによって同時にコーティングされた素子表面に向けられる。] 背景技術 [0003] ArFエキシマーレーザベース微細リソグラフィは、パターン付シリコンウエハを量産するために半導体工業によって広く用いられている。半導体工業はエキシマーレーザ源からのより高い性能を求め続けている。この結果、エキシマーレーザ光学コンポーネント、例えば193nm波長エキシマーレーザにおいて高繰り返しレートで用いられる高反射ミラーに対して、継続的に高まる要求がなされている。] [0004] 半導体プロセスの最小線幅は65nmから45nmないしさらに細くなる方向に進歩しているから、深紫外(DUV)スペクトル領域における光学コーティングの適用が拡大し、今では、レーザ光学系(エキシマーレーザベースシステムに関連して用いられる光学コンポーネント;例えば193nm波長エキシマーレーザにおいて高繰り返しレートで用いられる高反射ミラー)及び精密光学系(例えばレチクル検査対物光学系)に用いられている。レーザ光学系に関しては、光学コンポーネントが高レーザフルーエンスにさらされる。この結果、レーザ光学系のレーザ耐久性が半導体工業における主要課題の1つである。一方、精密光学系については、対物光学系または投影光学系は表面曲率が様々な多くのレンズを備えており、低損失反射防止(AR)コーティングがそのような用途に対して極めて重要である。一般に、193nm光学コーティングの作製には少なくとも1つの高屈折率フッ化物材料及び1つの低屈折率フッ化物材料が必要である。] [0005] そのようなミラーに用いることができる極めて限られた数の材料の中で、200nmより短波長に対しては、高屈折率材料としてはGdF3及びLaF3を用いることができ、また低屈折率材料としてはMgF2及びAlF3を用いることができると考えられる[非特許文献1,2,3,4及び5を見よ]。] [0006] 現時点において、ArFレーザ光学応用のためのワイドバンドギャップフッ化物薄膜に注目した研究が新たになされている。プラズマイオンアシストデポジション(PIAD),イオンアシストデポジション(IAD)及びイオンビームスパッタリング(IBS)のような、高エネルギーデポジションプロセスのフッ化物材料への適用は、フッ化物材料の性質のため、制限されている。この結果、工業界は、フッ化物膜デポジションに、フッ素欠乏を生じさせない抵抗加熱蒸着(TRE)を受け入れてきた。しかし、膜デポジション法として抵抗加熱蒸着を用いた場合、得られるフッ化物膜の充填密度が低く(すなわち多孔質であり)、膜構造が不均質である。多孔構造は環境汚染の滞留場所を提供し、散乱損失を高めるから、これらのいずれも望ましくない。基板温度及びデポジション速度を含む、様々な手法がフッ化物膜構造を改善するために適用されてきた。最近、基板結晶方位の効果も考慮されたが、有意な改善は報告されていない[非特許文献6及び、ワイ・タキ1(Y. Taki)等の、名称を「フッ化ランタン膜が施された光学素子(Optical Element Equipped with Lanthanum Fluoride Film)」とする、特許文献1を見よ]。] [0007] 例えば高反射ミラーにおいて、193nmにおける高反射率を得るためには多くの周期の高屈折率層と低屈折率層(一周期は1つの高屈折率層と1つの低屈折率層に等しい)が必要であるという事実から、別の問題が生じる。しかし、層数及び総厚が大きくなるにつれて、表面/界面粗さが大きくなり、不均質性が高くなる。多層フッ化物膜構造の制御は193nmにおける高反射率の達成に必須である。微細リソグラフィでの使用だけでなく、フッ化物コーテッドミラーは、ArFエキシマーレーザが他の、非リソグラフィ用途を有する分野、例えば、侵襲性が最少の脳、血管及び眼の手術、超精密機械加工及び測定、大規模集積電子デバイス、及び通信用コンポーネントにも必要である。200nmより短波長、例えば193nmでの、リソグラフィに用いられる、現行のフッ化物コーテッド素子(例えば、ミラー及びその他のレーザシステム光学素子)にある問題から見て、そのような問題を克服するフッ化物コーテッド素子を有することが望ましい。ミラーだけでなく、本発明は<200nmレーザシステムに用いられる、ビームスプリッタ、プリズム、レンズ、出力カプラ及び同様の素子にも適用できる。] 先行技術 [0008] 米国特許出願公開第2003/02276670A1号明細書 ディー・リストウ(D. Ristau)等,「イオンビームスパッタリング並びにボート及び電子ビーム蒸着によって被着したMgF2及びLaF3コーティングの紫外光及び微細構造特性(Ultraviolet optical and microstructural properties of MgF2 and LaF3 coating deposited by ion-beam sputtering and boat and electron-beam eva poration)」,Applied Optics,2002年,第41巻,p.3196〜3204 アール・ティールシュ(R. Thielsch)等,「UV応用のためのフッ化物多重層における機械的応力の発現(Development of mechanical stress in fluoride mu lti-layers for UV-applications)」,Proc. SPIE,2004年,第5250巻,p.127〜136 シー・シー・リー(C. C. Lee)等,「熱蒸着によるAlF3薄膜の193nmにおける特性決定(Characterization of AlF3 thin films at 193nm by thermal evaporation)」,Applied Optics,2005年、第44巻,p.7333〜7338 アール・ティールシュ等,「非晶質基板上に成長させた三フッ化ガドリニウム薄膜の光学、構造及び機械特性(Optical, structural and mechanical prope rties of gadolinium tri-fluoride thin films grown on amorphous substrates)」,Pro c. SPIE,2005年,第5963巻,59630O1〜12 ジュー・ウォン(Jue Wang)等,「可変角スペクトロスコピーエリプソメトリで評価したGdF3薄膜のナノ構造(Nano-structure of GdF3 thin film evaluat ed by variable angle spectroscopic ellipsometry)」,Proc. SPIE,2006年,第6321巻,p.6321071〜10 ワイ・タキ(Y. Taki),ケイ・ムラマツ(K. Muramatsu),「CaF2上のLaF3のヘテロエピタキシャル成長及び光学特性(Hetero-epitaxial growth and optical properties of LaF3 on CaF2)」,Thin Solid Films,2002年,第420−421巻,p.30〜37] 課題を解決するための手段 [0009] 本発明は緻密で均質なフッ化物膜でコーティングされた光学素子及びそのようなコーテッド素子を作製する方法に向けられる。コーティング材料は高(H)屈折率フッ化物材料及び低(L)屈折率フッ化物材料であって、共蒸着されてL-H混成コーティング材料(L-H材料の共デポジションコーティング)を形成する、高(H)屈折率フッ化物材料及び低(L)屈折率フッ化物材料である。高屈折率材料として用いるには希土類金属フッ化物が好ましい金属フッ化物であり、フッ化ランタン(LaF3)及びフッ化ガドリニウム(GdF3)が特に好ましい。フッ化アルミニウム(AlF3)及びアルカリ土類金属フッ化物が好ましい低屈折率材料であり、フッ化マグネシウム(MgF2)が好ましいアルカリ土類金属フッ化物である。本発明の光学素子は、選択された基板上に被着された1層または複数層の共デポジションL-H膜を有し、それぞれの層の厚さは5〜70nmの範囲にある。低屈折率材料は共デポジション膜内に2〜30重量%の範囲で存在し、残りは、70〜98重量%の範囲にある量で存在する高屈折率材料である。基板は、Si(シリコン)、SiO2(シリカ)、石英ガラス、HPSF(商標)(コーニング社(Corning Incorporated)の高純度石英ガラス)、F-SiO2(フッ素ドープ石英ガラス)、(111)CaF2単結晶面及び非(111)CaF2単結晶面からなる群から選ばれ、後者の2つの基板は本明細書において(111)CaF2単結晶及び非(111)CaF2と称される。] [0010] 本発明の一態様において、共デポジション膜は、基板上に被着されたAlF3-GdF3,AlF3-LaF3であり、基板は、SiO2、石英ガラス、HPSF(商標)(コーニング社の高純度石英ガラス)、F-SiO2(フッ素ドープ石英ガラス)、(111)CaF2及び非(111)CaF2からなる群から選ばれる。] [0011] 本発明の別の態様において、光学素子は1つまたは複数の共デポジションL材料-H材料層の被着に先立って基板上に被着された低(L)屈折率材料層を有する。共デポジションL-H層の厚さは5〜70nmの範囲にある。L(のみの)層の厚さは、共デポジションL-H層の被着前に基板(光学素子)上に被着されるかまたは共デポジションL−H層の上面に被着されるかにかかわらず、5〜70nmの範囲にある。別の態様において、低屈折率材料はAlF3及びMgF2からなる群から選ばれる。別の態様において、低屈折率材料の層はそれぞれの共デポジションL-H層の上面に、または複数のL-H層からなるスタックの上面に、被着される。また別の態様において、シリカ、石英ガラス、高純度石英ガラス及びフッ素ドープ石英ガラスからなる群から選ばれる材料の表面層または封止層が、一L-H層の上またはL/(L-H)層のスタックの上面に最終層として被着される。さらに、シリカ、石英ガラス、高純度石英ガラス及びフッ素ドープ石英ガラスからなる群から選ばれる材料の1つまたは複数の界面平滑化層が、L/(L-H)層のスタックの間に挿入される。] [0012] 別の態様において、本発明は光学素子上に被着されたL-H層及びL-H層の上面に被着されたL層を有する光学素子に向けられる。] [0013] 一態様において、本発明は、AlF3と高屈折率金属フッ化物材料の共蒸着を含む方法に向けられ、AlF3は高屈折率フッ化物材料、例えば、LaF3膜,GdF3膜及びその他の高屈折率膜の、膜構造を制御するために用いられる。] [0014] コーテッド光学素子を形成するために光学素子をコーティングする方法は、 光学素子を提供する工程、及び 光学素子を、 (a)L-H層を形成するために高屈折率希土類金属フッ化物及び低屈折率金属フッ化物を含む少なくとも1つの膜層の共デポジション、及び (b)L層を形成するためノ低屈折率材料のコーティングによる共デポジション膜層のコーティング、 により少なくとも1つのコーティングスタックを有するようにコーティングする工程、 を含み、 層(a)及び層(b)はそれぞれ、互いに独立に、5nm〜70nmの範囲にある厚さを有し、L-H層(a)及びL層(b)は合わせてスタックをなす。] 図面の簡単な説明 [0015] 図1はSiO2基板上に成長させたGdF3膜の深さ方向屈折率プロファイルを示す。 図2はSiO2基板上に成長させたGdF3膜のAFM像である。 図3はSiO2基板上に成長させたGdF3膜のXRD像である。 図4はSiO2基板上に成長させたGdF3膜のSEM断面を示す。 図5はSiO2基板上のAlF3-GdF3共蒸着膜の深さ方向屈折率プロファイルを示す。 図6はSiO2基板上のAlF3-GdF3共蒸着膜のAFM像である。 図7は、SiO2またはCaF2の基板上の第1層共蒸着AlF3-GdF3コーティング及び共蒸着AlF3-GdF3層に重なる第2層AlF3コーティングを有する、2層ARコーティングを示す。 図8は、第1コーティング層がSiO2またはCaF2の基板上に被着されたAlF3であり、第2コーティング層が、コーティング材料が第1コーティング層の上面に被着された共蒸着AlF3-GdF3であり、第3コーティング層が共蒸着AlF3-GdF3の上面に被着されたAlF3である、3層ARコーティングを示す。 図9は、必要に応じる「表面シーラント」が第2コーティング層の上面に施された、図7の2層コーティングを示す。 図10は、必要に応じる「表面シーラント」が第3コーティング層の上面に施された、図8の3層コーティングを示す。 図11は少なくとも1つの界面平滑化(IS)層及び表面シーラント(TS)を含むSiO2またはCaF2の基板上のフッ化物L/(L-H)スタックを用いる、AR,PR及びHRコーティングの略図である。 図12は、コーティングされるべきDUV素子が上部におかれ、TRE1及びTRE2が底部におかれている、高真空チャンバ内の共蒸着プロセスの構成を簡略に示す。TRE1及びTRE2は高純度フッ化物材料を蒸発させるために用いられる。分散媒H内の共蒸着Lの重量%は蒸気流束比によって決定される。] 図1 図10 図11 図12 図2 図3 図4 図5 図6 図7 実施例 [0016] 本発明は、緻密で均質なフッ化物膜でコーティングされた(基板とも呼ばれる)光学素子及びそのようなコーテッド素子を作製する方法に向けられる。コーティング材料は高(H)屈折率フッ化物材料及び低(L)屈折率材料であって、L-H混合物のコーティング層(L-H層,L材料及びH材料の共デポジションコーティング)を形成するために共蒸着される、高(H)屈折率フッ化物材料及び低(L)屈折率材料である。希土類金属フッ化物(例えば、ネオジム、ランタン、ジスプロシウム、イットリウム及びガドリニウムのフッ化物、及びこれらの混合物)が高屈折率材料としての使用に好ましい金属フッ化物であり、フッ化ランタン(LaF3)及びフッ化ガドリニウム(GdF3)が特に好ましい。フッ化アルミニウム(AlF3)及びアルカリ土類金属フッ化物(カルシウム、マグネシウム、バリウム及びストロンチウムのフッ化物)が好ましい低屈折率材料であり、フッ化マグネシウム(MgF2)が好ましいアルカリ土類金属フッ化物である。高屈折率材料の屈折率は1.55〜1.75の範囲にある。低屈折率材料の屈折率は1.35〜1.45の範囲にある。] [0017] 本明細書で用いられるように、語句「周期」はL/(L-H)層対を指す。語句「スタック」は多重フッ化物層を表す。複数の周期を基板に施して、コーテッド光学素子を形成することができる。さらに、L-H層を含むコーティングの共デポジションに先立って1層の低屈折率材料を基板に施すことができ、続いて、単周期を形成するかまたは複数の周期の第1周期を形成するためのL層の被着が行われる。完成フッ化物スタックを形成するために複数のL/(L-H)周期が基板に施される場合、本明細書のどこか他で説明されるような、必要に応じる「平滑化層」を2つないしさらに多くのフッ化物スタックの間に施すことができる。さらに、同じく本明細書のどこか他で説明されるように、本発明の全ての実施形態において必要に応じる封止層を最終層として施すことができる。] [0018] 本発明の光学素子は選ばれた基板上に被着された1層または複数の層の共デポジションL-H膜を有し、それぞれの層の厚さは5〜70nmの範囲にある。共デポジション膜内の低屈折率材料の存在量は2〜30%の範囲にあって、残りは高屈折率材料である。基板は、Si(シリコン)、SiO2(シリカ)、石英ガラス、HPSF(コーニング社の高純度石英ガラス)、F-SiO2(フッ素ドープ石英ガラス)、CaF2単結晶の(111)面及びCaF2単結晶の非(111)面からなる群から選ばれ、後者の2つは (111)CaF2単結晶及び非(111)CaF2として本明細書で示される。共デポジション膜は技術上既知の方法、例えば、プラズマイオンアシストデポジション(PIAD)、イオンアシストデポジション(IAD)、イオンビームスパッタリング(IBS)及び抵抗加熱蒸着(TRE)により、被着することができる。好ましいデポジション法はTREである。] [0019] 一般に、バルク材料上の光学機能性コーティングを得るためには、屈折率が相異なる少なくとも2つのフッ化物材料が必要である。コーティングには、例えば、反射防止(AR)コーティング、部分透過反射器(PR)を形成するコーティング及び高反射器またはミラー(HR)を形成するコーティングがある。部分透過反射器はコーテッド素子に当たる入射光の一部を反射し、入試光の一部に素子を通過させる。高反射器(ミラー)は入射光の全てまたは実質的に全てを反射する。上述したように、材料GdF3及びLaF3は、基板上の層として被着した場合に高屈折率層と見なすことができ、材料AlF3及びMgF2は、基板上の層として被着した場合に低屈折率層と見なすことができる。これらの材料の中でAlF3膜は非晶質である[SiO2膜も非晶質である]。しかし、LaF3膜,GdF3膜及びMgF2膜は事実上結晶性であり、それぞれの膜成長条件に応じて異なる結晶構造がある。フッ化物コーテッド素子の総合性能は、選ばれるフッ化物材料の対(例えば、GdF3/AlF3,GdF3/MgF2,LaF3/AlF3及びLaF3/MgF2)、基板のタイプ(例えばSiO2及びCaF2)及び基板結晶方位(例えば(111)CaF2基板面または非(111)CaF2基板面)に関係する。高屈折率フッ化物層(例えばLaF3層及びGdF3層)の微細構造は低屈折率フッ化物層(例えばMgF2層及びAlF3層)よりも大きな影響を光学素子の性能に与えることもわかっている。言い換えれば、光学素子の性能向上には、高屈折率フッ化物層の構造制御が必須である。この結果、高屈折率フッ化物層の構造を制御するため(LaF3層[非特許文献6及び特許文献1];GdF3層[ジェイ・ウォン等,「可変角スペクトロスコピーエリプソメトリーで評価したGdF3薄膜のナノ多孔構造(Nanoporous-structure of GdF3 thin film evaluated by variable angle spectros copic ellipsometry)」,Applied Optics,第46巻,第16号,p.3221〜3226;及び、ジェイ・ウォン等,「フッ化物コーティングの課題(Challenge of fluoride coatings)」,光学コーティング技術及び応用に関する国際会議(the International Confe rence on Optical Coating Technology and Applications),2007年5月8〜10日,蘇州,中国])、及びフッ化物コーティングのスタックを平滑化するために、努力が払われている。] [0020] 一般に、193nm光学コーティングを作製するためには、少なくとも1つの高屈折率フッ化物材料(例えばGdF3及びLaF3)及び1つの低屈折率フッ化物材料(例えばAlF3及びMgF2)が必要である。AlF3を除き、普通に用いられるフッ化物のほとんどでは膜成長中に結晶構造が優先的に形成される。本発明を行う経過中に得られた結果は、AlF3/LaF3,MgF2/GdF3及びMgF2/LaF3の中でAlF3/GdF3が最善のL/Hフッ化物組合せであった。CaF2(111)面上のGdF3のヘテロエピタキシャル成長挙動により、ほとんどの場合フッ化物膜はCaF2(111)面上に被着されるから、発明者等によるレーザ光学系用途のためのGdF3膜構造の改善が可能になる。精密光学系用途に対しては、フッ化物膜は非(111)CaF2面上に、あるいは非晶質SiO2基板に、被着されなければならない。] [0021] 図1は、SiO2基板上に成長させたGdF3膜の(波長193nmにおける)深さ方向屈折率プロファイルを示す。屈折率は膜の充填密度に比例する。すなわち、高屈折率は緻密膜から生じ、一方、低屈折率は多孔膜構造に対応する。図1でわかるように、GdF3膜成長初期には基板上に緻密膜が形成され、高屈折率が得られている。膜厚が大きくなるにつれてランダムに配位している結晶微細構造により結晶粒間に間隙が入る。間隙の結果、膜密度は層厚(基板からの距離)が大きくなるにつれて低下し、非常に粗い層表面で終端する。粗い表面モルフォロジーは、図2に示されるようなAFM(原子間力顕微鏡観察法)測定によってさらに確かめられる。] 図1 図2 [0022] RMS(二乗平均平方根)による表面粗さは5μm×5μmの面積にわたり9.1nmである。図3は、SiO2基板上に成長させたGdF3膜のX線回折(XRD)像を示す。結晶構造(XRDの鋭いスパイクまたはピーク)はSiO2基板から生じている非晶質バックグラウンドに重なっている。XRDピークはSiO2基板上のほとんどランダムに配位している多結晶GdF3膜を示す。この多結晶構造は、GdF3層が参照数字20で表され、SiO2基板が参照数字30で表されている、図4に示されるような、走査型電子顕微鏡(SEM)断面像によっても明らかになっている。非(111)CaF2基板上及び非晶質SiO2基板上に成長させたGdF3膜の不均質膜構造及び粗表面は散乱損失を大きくし、(膜の表面において間隙を埋める汚染材料による)汚染のリスクを高める。これは、例えば、精密光学系用途に対するフッ化物(AR)コーティングの性能を低下させる。] 図3 図4 [0023] 本発明にしたがえば、共デポジション手法を用いることで、非晶質AlF3によって、成長GdF3結晶の大きさが制御され、GdF3結晶粒間の空孔が埋められ、よって散乱損失は減少し、汚染のリスクが最小限に抑えられる。本アイデアは実験で確かめられ、SiO2基板上のAlF3/GdF3共デポジション膜の(波長193nmにおける)深さ方向屈折率プロファイルを示す、図5に示される。膜組成は90%GdF3及び10%AlF3である。総層厚は図1に示されるGdF3膜に非常に近い。図1のGdF3膜と比較すると、共デポジションAlF3-GdF3膜の不均質性はかなり低められている。図5及び図1のそれぞれの屈折率プロファイルの右側の比較により示されるように、共デポジションAlF3-GdF3膜の表面もGdF3だけの膜より平滑である。共デポジション膜のモルフォロジーは図6のAFM像で示される。図6と図2の違いは極めて明白である。共蒸着AlF3がGdF3結晶構造を崩し、GdF3結晶粒間の空孔を埋める。この結果、小さなGdF3結晶粒しか形成され得ず、共デポジションAlF3/GdF3膜は緻密で、均質であって、平滑である。図6の共蒸着膜の表面粗さは、AFMで測定して、1.2nmであり、これは図2のGdF3膜の粗さの1/7.6である。共蒸着手法を用いてフッ化物膜構造を制御することの利点は、表面曲率が大きい、非(111)CaF2レンズ及び非晶質SiO2レンズ上のARコーティングの開発においても実証された。] 図1 図2 図5 図6 [0024] 本発明のいくつかの応用の、限定ではなく、例が図7〜10に簡略に示される。図7は、SiO2またはCaF2の基板100上の、一方の層が共デポジションAlF3-GdF3層50で、他方の層がAlF3層40の、フッ化物層対を用いる2層ARコーティングを示す。図8は、SiO2またはCaF2の基板100上のAlF3層40の上面の共デポジションAlF3-GdF3層50及びAlF3-GdF3層50を覆う上面AlF3層からなるフッ化物層対を用いる3層ARコーティングを示す。図9は、低屈折率AlF3層40の上面に(次の段落で論じられる)表面シーラント層70が施された図7の2層コーティングを示す。図10は、表面シーラント層70が施された図8の3層コーティングを示す。上記のコーティングに用いられる高屈折率材料及び低屈折率材料が本明細書で説明されたような他の高屈折率材料または低屈折率材料で置き換えられ得ることは当然である。] 図10 図7 図8 図9 [0025] 表面シーラント(図9〜10の参照数字70)を用いる手法は共通に譲渡された米国仮特許出願第60/904132号の明細書に開示されており、この明細書では緻密で平滑なSiO2(シリカ、石英ガラス及び高純度石英ガラス)層またはF-SiO2層がシーラントとして用いられている。図7〜10に示される共蒸着AlF3-GdF3層は、共蒸着AlF3-LaF3層で置き換えることができる。図7〜10に示されるAlF3層も、共蒸着AlF3-MgF2層で置き換えることができる。共蒸着膜の層厚は5nm〜70nmの範囲にある。] 図10 図7 図8 図9 [0026] 一般に、フッ化物膜構造制御のための共蒸着手法は、フッ化物が関係するいかなるAR(反射防止)コーティング、PR(部分透過反射器)コーティング及びHR(高反射器またはミラー)コーティングにも適用できる。図11は、SiO2またはCaF2の基板上の、界面平滑化(IS)層及び表面シーラント(TS)層が施されている、共デポジションL-H層とL層のフッ化物層対を用いる、ARコーティング、PRコーティング及びHRコーティングの略図を示す。ラベルL-Hは共蒸着されたAlF3-GdF3またはAlF3-LaF3の層を表す。ラベルLはAlF3層または共蒸着AlF3-MgF2層を表す。図11の層シーケンスはコーティング設計に応じて異なる順序に設定することができる。さらに、上記コーティングに用いられる高屈折率材料及び低屈折率材料が、本章の冒頭で説明されたような、他の高屈折率材料または低屈折率材料で置き換えられ得ることは当然である。] 図11 [0027] 図12は、コーティングされるべきDUV素子が上部におかれ、TRE1及びTRE2が底部におかれている、高真空チャンバ内の共蒸着プロセスの構成を簡略に示す。TRE1及びTRE2は、モリブデン(Mo)または白金(Pt)でボート形状につくられた個々の抵抗加熱源内に入れられている高純度フッ化物材料を蒸発させるために用いられる。分散媒H内の共蒸着Lの重量%は、ボートを通過する電流の量で制御される、相対蒸気流束比で決定される。例えば、ボートTRE1には高屈折率材料を入れることができ、ボートTRE2には低屈折率材料を入れることができる。蒸気流束は、水晶振動子モニタまたは光学手法を用いてその場でモニタすることができる。ディー・エル・スミス(D. L. Smith)は、「薄膜デポジション:原理と実際(Thin-Film Deposition: Principles & Practice)」,マクグロウ-ヒル社(McGraw-Hill, Inc.),1995年,の第4章で抵抗加熱蒸着の技術的詳細を説明している。] 図12 [0028] 限られた数の実施形態に関して本発明を説明したが、本開示の恩恵を有する当業者には本明細書に開示されるような本発明の範囲を逸脱しないその他の実施形態が案出され得ることは当然であろう。したがって、本発明の範囲は添付される特許請求の範囲によってのみ限定されるべきである。] [0029] 40 AlF3層(L層) 50 共デポジションAlF3-GdF3層(L-H層) 70 表面シーラント層 100 SiO2またはCaF2の基板]
权利要求:
請求項1 コーテッド光学素子において、前記光学素子が、基板であって、該基板上に被着された高屈折率希土類金属フッ化物材料及び低屈折率金属フッ化物材料を含む少なくとも1つの均質な共デポジションL-H層、及び前記共デポジションL-H層の上面に被着された低屈折率金属フッ化物材料のL層を有する基板を備え、前記共デポジションL-H層が5nm〜70nmの範囲にある厚さを有し、前記L層が5nm〜70nmの範囲にある厚さを有する、ことを特徴とするコーテッド光学素子。 請求項2 前記高屈折率希土類金属フッ化物の金属が、ネオジム、ランタン、ジスプロシウム、イットリウム及びガドリニウムからなる群から選ばれることを特徴とする請求項1に記載のコーテッド光学素子。 請求項3 前記低屈折率金属フッ化物が、フッ化アルミニウム、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、フッ化バリウム及びフッ化ストロンチウムからなる群から選ばれることを特徴とする請求項1に記載のコーテッド光学素子。 請求項4 前記基板が、シリカ基板、石英ガラス基板、高純度石英ガラス基板及びフッ化カルシウム単結晶基板からなる群から選ばれることを特徴とする請求項1に記載のコーテッド光学素子。 請求項5 前記コーテッド光学素子の上面の最終層として施されるシール層をさらに有し、前記シール層が、シリカ、石英ガラス、高純度石英ガラス及びフッ素ドープ石英ガラスからなる群から選ばれ、5〜70nmの範囲にある厚さを有することを特徴とする請求項1に記載のコーテッド光学素子。 請求項6 前記光学素子が複数のL/(L-H)層対を有し、必要に応じて、少なくとも1つの界面平滑化層が少なくとも1つの前記L/(L-H)層対間に挿入され、前記平滑化層が、シリカ、石英ガラス、高純度石英ガラス及びフッ素ドープ石英ガラスからなる群から選ばれる、ことを特徴とする請求項1に記載のコーテッド光学素子。 請求項7 前記共デポジション層が2〜30重量%の低屈折率金属フッ化物及び70〜98重量%の高屈折率材料を含むことを特徴とする請求項1に記載のコーテッド光学素子。 請求項8 光学素子をコーティングする方法において、前記方法が、光学素子を提供する工程、前記光学素子を、少なくとも1つのコーティングスタックを有するように、(a)L-H層を形成するために高屈折率希土類金属フッ化物及び低屈折率金属フッ化物からなる少なくとも1つの膜層の共デポジション、及び(b)L層を形成するために低屈折率材料のコーティングによる前記共デポジション膜層のコーティング、によってコーティングする工程、を含み、前記層(a)及び層(b)はそれぞれ、互いに独立に、5nm〜70nmの範囲にある厚さを有し、前記L-H層(a)及び前記L層(b)は合わせて1つのスタックをなす、ことを特徴とする方法。 請求項9 前記方法が最終スタックの上面にシール層を施す工程をさらに含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。 請求項10 前記共デポジションL-H層及び前記L層がそれぞれ、独立に、5〜70nmの範囲にある厚さを有することを特徴とする請求項8に記載の方法。
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